PMSによる吐き気はなぜ起こる？原因や治し方を詳しく解説

生理

更新日：2025.12.05

PMS（月経前症候群）によるそのつらい吐き気には、適切な治療法があります。
「毎月のことだから」「数日のことだし」と、吐き気をついつい我慢してしまっている人もいるのではないでしょうか？そのつらさは、ホルモンバランスの変化によって起こる「PMS（月経前症候群）」が原因かもしれません。
PMSによる吐き気の具体的な原因や、日常生活に取り入れやすいセルフケアの方法を解説しているので、あなたに合った解決策を一緒に見つけましょう。また、PMSによる吐き気に関する質問にもお答えしているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

生理前に吐き気を引き起こすPMS（月経前症候群）とは？
PMSによる吐き気がする原因
PMSによる吐き気がするときの3つの治療法
PMSによる吐き気がするときの5つのセルフケア
PMSによる吐き気に関する気になるQ＆A
つらいPMSによる吐き気は、我慢しないで大丈夫
ピルをはじめるならメデリピル

生理前に吐き気を引き起こすPMS（月経前症候群）とは？

PMS（月経前症候群）とは、生理が始まる約3〜10日前から現れる、心身の不調を指します。ホルモンの変動によって自律神経や神経伝達物質に影響が及び、吐き気をはじめとするさまざまな症状が現れることがあります。

PMS（月経前症候群）で見られる身体的・精神的な症状

PMS（月経前症候群）で見られる症状は、身体的な不調と精神的な不調の2つに分けられます。体の症状としては、37度前後の微熱や頭痛、吐き気、お腹の痛みなどがあります。なかでも、胸の張りや痛み、強い眠気、だるさ、むくみを感じる人も多いでしょう。また、おりものの色やにおいがいつもと違うと感じることもあります。
一方で、精神的な症状としては、気分の落ち込みやイライラ、涙もろさ、情緒不安定といった変化が見られます。これらは、生理前のホルモンバランスの変化が影響しており、生理が始まると自然に軽くなるのが一般的です。

PMS（月経前症候群）の主な原因

PMSの原因は完全には解明されていませんが、大きく影響しているのは女性ホルモンの急激な変動だといわれています。女性の生理周期のうち、排卵から生理が始まるまでの期間（黄体期）には、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類が多量に分泌されます。
この黄体期の終わりにホルモン量が急激に低下すると、脳内のホルモンや神経伝達物質のバランスが乱れ、それが気分の落ち込みやイライラ、吐き気といった心の不調として現れます。
また、このホルモン変動に加え、ストレスなど、ほかの様々な要因も影響し合ってPMSの症状を引き起こしていると考えられています。

PMSによる吐き気がする原因

生理前に「なんだか気持ちが悪い」「吐き気がする」と感じることはありませんか？この不快な症状の背景には、体の中で起きているホルモンの変化や、腸の状態の変化が関係していることがあります。ここでは、生理前に吐き気が起こる主な原因を見ていきましょう。

黄体ホルモンの分泌量が増えるため

生理前の「黄体期」には、体内で黄体ホルモンが増加します。このホルモンは妊娠を維持するために必要なものですが、消化器官の働きを鈍くしたり、自律神経に影響を与えることで吐き気を引き起こすことがあります。また、ホルモンバランスの乱れによりPMS（月経前症候群）が悪化すると、吐き気の症状が強まることもあります。

腸の壁に水分が溜まるため

黄体ホルモンの影響で、腸の壁に水分が溜まりやすくなることも吐き気の原因のひとつです。この状態になると腸の動きが鈍くなり、便秘や胃もたれ、吐き気といった不快な症状が起こりやすくなります。

妊娠している可能性があるため

生理前の吐き気は、妊娠初期のつわりによるものかもしれません。特に、吐き気が強く、生理予定日を過ぎても出血がない場合は、妊娠している可能性があります。基礎体温が高いまま下がらない場合も、妊娠のサインとなることがあります。そのため、吐き気だけでなく、少しでも妊娠の兆候を感じた場合は、自己判断せずに妊娠検査薬で確認し、速やかに婦人科を受診しましょう。

PMSによる吐き気がするときの3つの治療法

毎月のPMSで吐き気に悩まされるのは本当につらいですよね。「どうにかしてこの症状を和らげたい」と考えている方も多いでしょう。ここでは、つらい吐き気を根本から、あるいは一時的に軽減するための3つの治療法をご紹介します。

低用量ピルを服用する

PMSによる吐き気を根本的にやわらげる方法として、低用量ピルの服用が効果的です。低用量ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンを配合した薬であり、服用すると、排卵が抑えられ、体内のホルモンバランスの変動が一定に保たれます。
その結果、生理前に女性ホルモンが急激に低下するのを防げるため、吐き気や頭痛、気分の落ち込みといったPMSの症状を軽減する効果が期待できます。
PMSの治療として低用量ピルを検討する場合は、婦人科で医師の診察を受け、自身に合った種類を処方してもらいましょう。

市販薬や漢方を服用する

PMSによる吐き気がつらいときは、市販薬や漢方薬で症状をやわらげる方法もあります。胃酸の分泌を抑えたり、胃の働きを整えるタイプの胃腸薬は、一時的な吐き気を軽減するのに役立つでしょう。
また、体質から整えたい場合は漢方薬もおすすめです。漢方では「気・血・水」のバランスが乱れることで不調が起こると考えられており、体質に合わせて処方を選びます。
たとえば、当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）は冷えやむくみをやわらげ、五苓散（ごれいさん）は余分な水分を排出、呉茱萸湯（ごしゅゆとう）は冷えによる吐き気に効果が期待できます。

PMSレス注射を使用する

PMSによるつらい症状を一時的にやわらげたい方には、PMSレス注射（抗PMS注射）という選択肢もあります。PMSレス注射は、必須アミノ酸やビタミンB群、ビタミンCなど、症状の緩和に効果的な栄養素が配合された注射です。生理前のイライラ、頭痛、だるさ、吐き気といった不快な症状を軽減する効果が期待でき、注射後の効果は通常3〜4日間持続します。
そのため、大切な予定があるときや、「生理前はいつも体調が悪くなる」という人ににおすすめの方法です。ピルを飲めない方でも、一時的に症状をやわらげたいときに取り入れやすい対処法といえるでしょう。

PMSによる吐き気がするときの5つのセルフケア

毎月のPMSで吐き気に悩まされるのは本当につらいですよね。病院での治療のほかにも、日常生活のちょっとした工夫で症状をやわらげることができます。ここでは、つらい吐き気に効果的な5つのセルフケアを見ていきましょう。

体を温める

体を温めて血行を促進すると、胃腸の動きが活発になり、吐き気が軽減されることがあります。湯船にゆっくり浸かったり、温熱パッドやカイロを使うなどして、体を冷やさないようにしましょう。
温かい飲み物を飲む、腹巻きを着用するなど、日頃から体を冷やさない生活を心がけることで、PMSのつらさをやわらげる効果が期待できます。

胃腸を刺激しない食事内容や栄養バランスに気をつける

吐き気があるときは、胃腸に負担をかけない消化の良い食べ物を選ぶことが大切です。カルシウムやビタミンB群を含む食事はPMS症状の緩和にも役立ちます。乳製品や小魚、肉、魚、豆類を含む食事を心掛け、無理のない範囲で、栄養バランスに気を配りましょう。
また、PMS症状を悪化させないために、アルコールやカフェイン、香辛料などの刺激物はなるべく避けてくださいね。

適度に体を動かす

ウォーキングや軽いストレッチなどの有酸素運動は、血行を促し、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。また、ヨガやピラティスは、深い呼吸と組み合わせることで自律神経にも働きかけ、リラックス効果を高められるのでおすすめです。無理のない範囲で体を動かし、気分転換を図ることで、ストレスを軽減させましょう。

PMSによる吐き気に関する気になるQ＆A

ここでは、PMSによる生理前の吐き気に関してよくある疑問をQ&A形式で解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

PMS（月経前症候群）と妊娠の吐き気の違いは？

PMSと妊娠初期の吐き気は症状が似ているため、区別が難しいことがあります。自身で違いを判断するには、基礎体温をつけてみたり、市販の妊娠検査薬を使ってみるのがおすすめです。
もし生理予定日を過ぎても生理が来ず、基礎体温が高いまま続く場合は妊娠の可能性があります。検査薬で陽性が出た場合はもちろん、陰性でも症状が続き、不安がある場合は自己判断せずに婦人科を受診しましょう。

生理前にいつもより気持ち悪いのはなぜ？

毎月のホルモンバランスの変動に、ストレスや生活習慣の乱れなどが重なると、PMSの症状が強く出ることがあります。特にホルモンの変化が大きい黄体期（排卵後から生理前）には、気分の落ち込みや吐き気が悪化しやすくなります

生理前の吐き気はいつから？

吐き気などのPMS症状は、生理が始まる3〜10日前から現れることが一般的です。症状の出始めの時期や強さには個人差がありますが、生理が始まると自然におさまるケースが多いです。

生理前に吐き気があるときは何を食べたらいい？

吐き気があるときは、温かくて消化のよい食事を選びましょう。ビタミンB6やカルシウム、大豆イソフラボンを含む食材は、ホルモンバランスを整える効果があるとされています。たとえば、バナナ、豆腐、味噌汁、白湯などがおすすめです。

生理前の吐き気がひどいときは何科を受診したらいい？

吐き気が強く、日常生活に支障がある場合は、婦人科または産婦人科を受診しましょう。もし近くにクリニックがない場合でも、オンライン診療サービスを利用して医師に相談することが可能です。症状を放置せず、早めに受診するようにしましょう。

PMSによる吐き気は、市販薬で治るなら治療しなくてもいいですか？

PMSによる吐き気は市販薬で一時的に落ち着くこともありますが、日常生活に影響するつらい症状がつらい場合は、医師に相談してみるのがおすすめです。
PMSの治療は、単に症状を抑えるだけでなく、あなたのQOL（生活の質）を高めることにもつながります。婦人科では、低用量ピルや漢方薬など、体質やライフスタイルに合わせた根本的な治療法を提案してもらえるので、セルフケアを続けながら、医師と一緒に自分に合った方法を見つけましょう。

つらいPMSによる吐き気は、我慢しないで大丈夫

生理前に起こる吐き気は、PMSのつらい症状のひとつであり、ホルモンバランスの急激な変化が関係していることが多いと考えられています。「たった数日だし…」と我慢しがちですが、もし毎月10日ほどつらい症状が続くとしたら、1年のうち約3分の1を苦しいまま過ごしていることになります。それって、すごくつらいことですよね。
吐き気が強い場合や、実際に嘔吐してしまうほどつらい場合は、決して我慢しないで婦人科を受診しましょう。ピルや漢方など、あなたの体質に合ったケアや治療法を探し、少しでも心や体がラクになれるように、ひとりで抱え込まずに、自分をいたわる時間をつくっていきましょう。

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