生理痛に漢方は効く？症状別のおすすめやセルフケアのポイントをご紹介

毎月やってくる生理痛に、憂うつな気持ちになることはありませんか？鎮痛薬でその場をしのいでも、「できれば薬に頼らずに過ごしたい」「根本的な改善がしたい…」と感じている人も多いと思います。
そこで、体質から見直したいという人に注目されているのが「漢方」によるアプローチです。漢方は痛みを一時的に抑えるのではなく、冷えやホルモンバランスの乱れといった生理痛の「原因」そのものに働きかけるのが特徴です。

生理痛に効果が期待できる漢方薬を症状別に紹介するとともに、自宅でできるセルフケアのポイントもわかりやすく解説するので、つらい生理期間を少しでも穏やかに過ごすための参考にしてみてくださいね。

生理痛は漢方で緩和される？

漢方は、体全体のバランスを整えることで不調を改善へと導くもの。生理痛に対しても、冷えや血流の滞り、ストレスなど、さまざまな要因に働きかけることで症状の緩和が期待できます。

漢方医学的な生理痛の考え方

漢方では、体の状態を「気・血・水（き・けつ・すい）」という3つの要素のバランスでとらえます。このうち「血（けつ）」の巡りが悪くなると、生理痛などの女性特有の不調が現れるとされています。

生理痛は「血」の滞り＝瘀血（おけつ）が原因と考えられることが多く、血流を改善し、体全体の巡りを良くすることで、痛みの軽減が期待されます。

そもそも生理痛とは？

生理痛とは、生理の前後や最中に感じる腹痛、腰痛、頭痛、吐き気など、さまざまな不快症状のことです。これは、子宮の内部に作られた赤ちゃんを育てるための「子宮内膜」が、妊娠しなかったために剥がれ落ち、血液と一緒に体の外へ排出される際（お掃除の時期）に感じる痛みです。程度や現れ方は人それぞれですが、日常生活に支障が出るほど強い痛みを感じる場合は「月経困難症」と呼ばれます。

生理痛が起こる原因

生理痛の主な原因は、子宮収縮です。生理が始まると、不要になった子宮内膜を排出するために子宮が強く収縮するため、この収縮が痛みを引き起こします。
さらに、この収縮に関わるのが、子宮内膜が剥がれ落ちる際に生成される「プロスタグランジン」という物質です。プロスタグランジンは経血を押し出す役割を果たしますが、分泌量が多すぎると収縮が過剰になり、下腹部や腰に陣痛のような強い痛みをもたらします。
また、この物質は頭痛や腰痛の原因にもなるほか、ストレスやホルモンバランスの乱れ、体の冷えなども痛みを強める要因となります。

生理痛の具体的な症状

痛みの現れ方や程度には個人差がありますが、主に以下のような症状や特徴が見られます。

さらに、次のような症状がある場合は、子宮内膜症や子宮筋腫、感染症などの病気が隠れている可能性があります。いつもと違うと感じたら、無理せず早めに婦人科を受診しましょう。

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【症状別】生理痛に効果が期待できる漢方

漢方薬は、生理痛の症状や体質に合わせて選ぶことが大切です。以下では、代表的な症状別におすすめの漢方をご紹介します。

肩こりや腹痛に効く漢方

肩やお腹に痛みが出やすい人は、血行不良や冷え、ストレスが関係している場合もあります。
そんなときは、体のめぐりを整えて内側から不調をやわらげてくれる漢方がおすすめです。

頭痛やめまいに効く漢方

頭が重い、ふらつくといった症状は、気圧の変化やホルモンバランスの乱れが関係していることも。
水分バランスや自律神経の働きを整える漢方で、体の内側からアプローチしてみましょう。

精神症状に効く漢方

生理前後にイライラしたり、気分が不安定になったりする方も少なくありません。
心と体のバランスを整える漢方を取り入れることで、ゆらぎやすい心身をサポートしましょう。

生理痛を和らげる5つのセルフケア

生理痛の緩和には、日常生活でのセルフケアも重要です。以下の方法を実践することで、体質改善にもつながる可能性があります。

体を冷やさない

体が冷えると血行が悪くなり、痛みの原因物質であるプロスタグランジンが骨盤内で滞ってしまうため、痛みが悪化します。これを防ぐためには、冷たい飲み物や食べ物を控えるのはもちろん、季節を問わず下半身を冷やさない服装を心がけましょう。
生理中は、血管が収縮しやすい状態にあるため、腹巻きや使い捨てカイロを下腹部や仙骨（腰の少し下）に貼って集中的に温めたり、湯船に浸かって体の芯から温めるのもおすすめです。

適度に体を動かす

ウォーキングや軽いストレッチ、またはヨガやピラティスなどの運動を無理のない範囲で取り入れてみましょう。運動不足や血行不良で子宮周辺の筋肉が硬くなっていると、経血を排出しようとする子宮の収縮がさらに促され、痛みがひどくなる場合があります。
適度な運動で全身の血流が促されることで、子宮周辺の血行が改善され、痛みの原因物質であるプロスタグランジンがスムーズに排出されやすくなります。運動はストレス発散にもなるため、心身のリフレッシュにも効果的です。

ストレスを溜めない

ストレスは、女性ホルモンや自律神経のバランスを乱す要因となり、生理痛を悪化させます。仕事や家事、人間関係など、毎日を頑張るなかで、知らず知らずのうちに心と体が緊張していませんか？
つらいときこそ、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけて、意識的に「休む時間」を作りましょう。
好きな音楽を聴く、温かいハーブティーを飲む、趣味に没頭するなど、心がホッとする時間を持つことが大切です。

ツボを押す

生理のつらい不調を和らげるには、ツボ押しもおすすめです。ツボを刺激したり温めたりすることで、その周辺の血行が良くなり、全身の緊張をほぐすことができます。

ツボを押す際は、心地よいと感じる程度の強さで行い、生理予定日の1週間前から始めると、より効果的です。

ピルを服用する

セルフケアや市販の鎮痛剤で痛みが改善しない、あるいは日常生活に支障が出ている場合は、低用量ピルの服用も選択肢のひとつです。
ピルは、ホルモンバランスを整えて排卵を抑制し、生理痛の原因物質（プロスタグランジン）の分泌そのものを抑える働きがあります。そのため、痛みを根本から改善する効果が期待できます。ピルを服用することで、生理痛の軽減、生理周期の安定、PMSの改善といった複数のメリットが得られるため、自身の症状や体質に合わせたピルの種類について、医師に相談してみましょう。

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生理痛と漢方に関するよくある質問

漢方による生理痛の改善については、まだまだ疑問を持つ方も多いでしょう。ここでは、生理痛と漢方にまつわるよくある質問にお答えします。

生理痛がつらいとき、漢方とピルどっちを選べばいい？

どちらが適しているかは、症状の程度や体質によって異なります。ピルは即効性があり、月経のコントロールが可能ですが、漢方は体質改善を目指すアプローチです。両方を併用することも可能なので、医師に相談しながら自分に合った方法を選びましょう。

漢方を飲むとき、飲み合わせてはいけないものはある？

同じような成分を含む複数の漢方を同時に飲むと、効果が過剰になったり逆に薄まったりする場合があります。また、西洋薬との組み合わせで作用に影響がでる場合もあるため、自己判断せず医師や薬剤師に相談しましょう。
漢方薬は天然由来の成分ですが、副作用が全くないわけではありません。体に合わない場合、胃の不快感や動悸、アレルギー反応などが出る可能性もあります。不安な症状が出た場合は、すぐに服用を中止して薬剤師や医師に相談することが大切です。

生理痛に漢方と市販薬では、どっちがおすすめ？

今すぐ痛みを和らげたいなら、市販の鎮痛薬がおすすめです。痛みの原因を素早く抑えるため、即効性があります。
一方、冷えやむくみ、イライラなど体質から整えたい場合は漢方薬が適しています。漢方薬は時間はかかりますが、体のバランスを整えて根本改善を目指せます。ドラッグストアでは、処方箋なしで購入できる市販の漢方薬も販売されているので、薬剤師に相談してみるのも良いでしょう。
しかし、漢方と市販薬、どちらがよいか迷うときや、痛みが年々ひどくなっている場合は、自己判断せずに婦人科で医師の診断を受け、指示に従うのが安心です。

月経困難症と診断された場合、どんな漢方が効きますか？

月経困難症の治療で使われる漢方薬は、症状や体質によって異なります。漢方では、「気・血・水」のバランスを見て薬を選びますが、たとえば、冷えや貧血傾向がありむくみやすい人には当帰芍薬散が、ストレスからくるイライラや不安が強い人には加味逍遙散、上半身ののぼせと下半身の冷えがある人には桂枝茯苓丸が検討されます。
漢方の服用については、自己判断せず、医師や薬剤師に自身の詳しい症状や体質を伝えて、最適な漢方薬を提案してもらうようにしましょう。

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生理痛を我慢しない。漢方でやさしく体を整えよう

生理痛は、決して我慢すべきものではありません。漢方は、痛みの根本的な原因にアプローチし、体質から整えることで、長期的な症状改善を目指せる方法です。
自分の症状や体質に合った漢方を選び、日々のセルフケアと組み合わせることで、生理期間をより快適に過ごすことができるかもしれません。まずは専門家に相談しながら、自分に合ったケアを見つけてみましょう。

漢方以外の鎮痛剤やピルもおすすめ

漢方薬でじっくり体質を改善するのも良いですが、「とにかく今この痛みを何とかしたい！」というときは、速効性のある市販の鎮痛剤がおすすめです。しかし、市販薬は痛みを一時的に抑えるものであり、生理痛の原因を根本から治す方法にはなりません。
そのため、生理痛や月経困難症を根本から良くしたい、そして避妊も一緒にしたいと考えるなら、低用量ピルの服用が効果的です。

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