茶色い不正出血が出る原因とは?疑われる病気について解説

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更新日:2025.08.13
茶色い不正出血が出る原因とは?疑われる病気について解説

普段の生理とは違う不正出血が起こると、不安になる人も多いでしょう。この記事では、不正出血が起こる原因と、考えられる病気の可能性について紹介しています。なるべく早めに病院を受診し、原因を突き止めることが体の不調の解決につながります。

不正出血とは?

不正出血とは、通常の生理周期とは関係のない時期に起こる性器からの出血のことで、正しくは「不正性器出血」といいます。
女性の性器は内性器と外性器とに分けられます。内性器は子宮、卵巣、卵管、腟などを指し、外性器は外陰部と膣の一部を指します。
何らかの原因でいずれかから出血すると、不正出血が起こります。

不正出血かなと思ったときに、まず初めに確認すべきは妊娠の可能性です。妊娠初期には、着床出血など少量の出血がみられることがあります。
(それを踏まえた上で)妊娠でなかった場合、不正出血がおこる原因は、主に3つに分けられます。
ホルモンの分泌が乱れて出血をおこすことを「機能性出血」、何らかの病気が原因で出血していることを「器質性出血」といいます。

また体質やそのときの体の状況によって、排卵とともに「中間期出血」が起こることもありますが、こちらは体の異常ではありません。

それ以外にも、膣の外傷などでも出血するケースがあります。

機能性出血

(非器質性出血)

ホルモンバランスの乱れによる出血

(血液凝固異常・排卵障害・子宮内膜機能異常・

医原性〔子宮内避妊具や内服等〕・その他)

器質性出血

(カタチの異常を

伴うもの)

子宮頚がん、子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜症、膣炎、

子宮膣部びらん、子宮頚管ポリープなどによって起こる出血

中間期出血 排卵期にともなう少量の出血

茶色の不正出血になる原因は?

女性の体は、ホルモンの影響で妊娠に備えて子宮内膜が厚くなったり、剥がれたりを繰り返しています。しかし、ホルモンバランスが乱れると、排卵がうまくいかなくなり、その影響で卵子がうまく育たず、子宮内膜も十分に厚くなりません。そうすると、生理が始まるころには内膜が薄いため、出血が少なくなり、排出に時間がかかります。その結果、血液が体内で酸化し、茶色い血として排出されることがあります。

要するに、不正出血の色だけでは原因を特定することは難しく、どれくらい時間をかけて出血が起こったかなど、他の要因も考慮する必要があります。出血の色が茶色や鮮やかな赤でも、それだけでは原因や場所を特定することはできないのです。

茶色の不正出血がある時に考えられる病気

不正出血とともに腹痛などの症状が出た際は、何らかの病気である可能性もあります。
不正出血の原因となる主な病気を6つ紹介します。

子宮頸がん

子宮頚がんは子宮頚部に生じるがんで、性交渉によるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染によって発症することがあります。
性交渉の経験がある多くの女性がHPVに感染する可能性があり、若い人にも起こりうるがんです。
HPVは基本的には免疫によって自然に排出されますが、長期間感染が持続すると子宮頚がんに進行する可能性があります。
初期症状はほとんどありませんが、不正出血や茶褐色のおりものが症状として現れることがあります。
早期に発見することで完治可能ですから、定期的な産婦人科での検診がすすめられています。

子宮体がん

子宮体がんは、女性の子宮体部に発生するがんの一種です。女性ホルモンであるエストロゲンの過剰な分泌にともなって発症することが多く、閉経後の女性に起きやすいがんです。
エストロゲンが子宮内膜の異常な増殖を引き起こし「子宮内膜増殖症」という段階を経て、子宮体がんへと進行します。
自覚症状として不正出血が現れるため、閉経後に不正出血があったら可能な限り早く病院の診療を受けましょう。また進行すると、性交痛、排尿痛、下腹部の痛みなどの症状が現れることもあります。特に閉経後の出血で注意が必要です。

ポリープなどの腫瘍

子宮の内部や子宮頚部にできるポリープは、不正出血の原因となることがあります。
ポリープが性交や激しい運動により傷つくことで、不正出血が起こり腹痛をともなうこともあります。
良性ではあるものの、着床障害が起きる場合や、稀に子宮体がんに進行することもあるため、症状がある場合は早めの摘出をおすすめします。子宮頚部にできるポリープのほとんどは、無痛での摘出が可能です。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍です。不正出血の他にも月経困難症や貧血の症状が現れることが知られていますが、筋腫の大きさや場所、数によってそれぞれ症状が異なります。
30歳以上の女性の4人に1人が子宮筋腫にかかっているといわれているほど一般的な病気です。症状が少ないうちはピルを使ったホルモン療法でも対処も可能ですから、取り除かないケースもあります。
しかし妊娠の妨げになることもあるため、妊活中の場合は医師の判断により摘出することもあります。

不正出血に関するよくある質問

40代で茶色の不正出血が出るのは病気?

40代後半になると、体は徐々に閉経に向けた準備を始めます。そのため、無排卵の生理や、これまでより生理周期が短くなることもあります。実は、40代以上の女性は、子宮や生理に関するトラブルが起こりやすい時期でもあります。

特に注意したいのが、子宮頸がんや子宮体がんなどのリスクです。特に子宮体がんは40代後半から発症率が高まり、50代での発症例も多く報告されています。不正出血があった場合は、まず精密検査を受け、「がんが原因ではない」と確認しておくことが大切です。

生理から2週間ほど経つと茶色の不正出血が出るのは正常?

生理後に茶色いおりものが出ることがありますが、これは生理が完全に終わった後に数日(目安として1週間以内)続くことが一般的です。体質によっては少し長引くこともありますが、量が少なくて、だんだん減っていく場合は、ほとんど心配ありません。

ただし、生理後1週間を過ぎても茶色いおりものが続く、量が増えてきた、鮮血が混じる、他の症状が伴うといった場合は、注意が必要です。早めに病院を受診するようにしてください。

茶色の不正出血はストレスが原因?

ストレスを感じると、副腎からコルチゾールというホルモンが分泌されます。このコルチゾールが分泌されている間は、女性ホルモン(プロゲステロン)の生成が抑えられるため、ホルモンバランスが乱れやすく、不正出血を引き起こすことがあります。

特に、人間関係の悩みや睡眠不足、長時間のスマホやパソコンの使用などは体にとって大きなストレスとなりやすいです。「ストレスが原因かもしれない」と思う場合は、ストレスを上手に発散したり、ホルモンバランスを整える生活を心がけることが大切です。

茶色の不正出血は妊娠している?

妊娠の可能性がある場合、着床出血で茶色いおりものが出ることがあります。着床出血は、受精卵が子宮内膜に着床した際に起こる出血で、妊娠初期の4週目頃、生理予定日付近に見られることが多いです。茶色いおりものとともに、下腹部に軽い痛みを感じることもあります。もし生理予定日から1週間以上経っても生理が来ない場合は、妊娠検査薬で確認することをおすすめします。

不安なときは医師の診療を

不正出血が続く、不正出血以外にも痛みやその他の症状をともなって不安な場合は、迷わず医師の診療を受けましょう。
特に1週間以上不正出血が続く場合や、いつもの生理周期と異なる出血パターン、腹痛、性交時の痛み、排尿痛、異常な月経痛などが現れる場合は、早急に産婦人科に相談しましょう。診察をしてみない限り原因はわかりません。
これらの症状は重大な病気の自覚症状である可能性もあり、早期の診断と治療が大切です。
不安を感じたらためらわずに病院を受診し、病気を早い段階で発見することで、多くの女性特有の病気は完治させることができます。
特定の病気の初期の段階では自覚症状がないことも考えられるため、定期的な受診をおすすめします。

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監修者

日本医科大学武蔵小杉病院 助教
海渡 由貴
2015年日本医科大学医学部卒業後、2年間の初期研修を経て、2017年より日本医科大学産婦人科学教室に入局。 大学病院、市中病院、クリニックなど幅広く勤務を経験。 日本女性医学会、日本生殖医学会、日本周産期・新生児学会に所属し、日々最新の知識を習得し、現在は日本医科大学武蔵小杉病院にて助教を務める。 2024年にメデリピルにてオンライン診療によるピル処方を開始し、2025年からmederi magazineの記事監修を担当。

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